「でも、こんな所に好きな人と二人でいられたら幸せでしょうね」
「そうだろうね。残念ながら僕はそういう状況ではなかったけどね」
「それは残念だったわね」
「そうだね」
 真澄の言葉に同意した後、今度は下地島の話をすることにした。
「次は下地島のことを話すね」
「うん、聞かせて」
 島に関する真澄の興味はまったく尽きないようだった。
「下地島から見た海も綺麗だけど、上地島のような見所は特にないかな」
「じゃあ、特に思い出に残ったこともないっていうこと」
 その後の話を続けるのが僕は少々照れ臭かった。
「そうでもないんだな。まあ、歌のネタにはならないと思うけど」
「何があったの?」
 真澄が聞いてくるのはもっともだったが、それでも僕は照れ臭さをぬぐい切れなかった。
「まあ、ちょっと話すのも恥ずかしい話なんだけどね」
「いいから、聞かせてよ」
真澄が話の続きを迫ってきた。僕は仕方なく話すことにした。