「新城島の位置は石垣と西表の間だけど、見ての通り西表のすぐ近くだね。この前に歌を作った黒島と西表のちょうど真ん中になるね」
「二つ島があるけどどちらが新城島なの?」
 これもまた、八重山に詳しくないものにとっては当然の疑問だった。
「北にあるのが上地島(かみじしま)、南にあるのが下地島(しもじしま)、この二つを合わせて新城島って言うんだ。新城島は『パナリ』と呼ばれることも多いんだ。二つの島は離れているので、方言の『離れ』に由来しているという説があるんだけど、他の説もあるらしいよ」
 僕が一通り説明してあげると真澄は更に細かい部分に関する質問をしてきた。
「なんだか複雑ね。それで二つの島はどれくらい離れているの」
「ガイドブックによれば四百メートル離れているらしいよ」
「微妙な距離ね。それで、どちらの島にも人は住んでいるの?」
 歌詞を書く覚悟を決めたせいか、真澄は島のことを色々と知りたいと思い始めたようだった。