プレッシャーは大きすぎるぐらいだ。それに答えれるかどうかはわからない。でも私にできることが少しでもあるのなら、それを最後までやり通すことに全力を尽くす。それだけだ。

 なんとか両脇に挟み、歩き出す。その様子を丘先生は終始オロオロと心配そうに見守っていた。

「いけます、大丈夫ですから」
「本当に大変だったら近くの人にヘルプを頼んでね。先生もまずは校内をくまなく探す予定にしているから」
「はい」

 丘先生は私の返事を尻目に保健室を出ていった。1人取り残されそうになる中、片方ずつ松葉杖と足を動かし前に進んでいく。幸い、肩は両方動くからなんとか歩けている状態だ。

 体を動かす。それは普通の人にとっては赤子の手をひねるように簡単なことだ。それが本当はこんなにも難しいことなのだということをここ数日は何回も痛いほど思い知らされた。
 
 それがよりにもよってこんなタイミングの時にも私自身をむしばむように苦しめてくるのか。もどかしい。今すぐにでも足が張り裂けんばかりに走って椋翔くんの元にたどり着きたいのに。

 とりあえず靴箱に行き、そもそもこの学校内にいるのかどうかを確認する。外を探すとなると範囲が広すぎて途方に暮れるからだ。
  
 でもいざ探そうと根本的なミスに気づく。椋翔くんのクラスを知らないのだ。1年ということは知っている。だから端から端まで探してみる。
 
 幸い靴箱のところには1人それぞれの名前が書いてあったのでなんとか見つけ出すことができた。そしてそこに上履きはなかった。外履きだけが置かれている。つまり、この学校内にいるという証である。

 そこから1階を見落としがないように探し回りいないことを確認してから上に登っていく。

「あっ、大丈夫!?どう、いた?」

 途中で丘先生と鉢合わせ、状況を聞かれた。首を横に振ると、丘先生の顔は一瞬で青ざめた。口元に手を当てて、何か嫌な予感でも察したみたいだ。