「うん!」
「あたしも一緒にいい?」
「いいよ!」

 大きく頷くと、柚香ちゃんが横からのりだしてくる。そんな急な乱入に友達は臆することもなく了承してくれた。

 そのあと席も教えてくれて、そこは窓側の1番後の席。隣は柚香ちゃんだった。

「これからは一緒に授業受けれるんだ!あたし、嬉しい!わかんないとこあったら、なんでも聞いて?あたし、一応成績学年トップだから」

 柚香ちゃんはガッツポーズをして、教える気満々だ。さっそく鞄から教科書やノートを取り出している。

「ありがとう!じゃあ、わからなくなったら聞くね」
「うん、任せて!どーんときて!」

 本当に頼もしい友人だ。焦げ茶色の目を輝かせていて、まくしたてている。姉御肌でもあるのかもしれない。

 ふたりで笑い合いながら話しているとチャイムが鳴り、教室に入ってきた担任は目を丸くしていた。髪をポニーテールにして太い眉で低身長の体育教師である。私と同じぐらいの背で仲間だー!と心の中で喜んでいる自分がいた。

「お、おはようございます!え、えっと……それじゃあ、授業を始めましょうか。学級委員、号令!」

 その先生はおどおどと慌てふためきながらも、指示を出した。それに対し、柚香ちゃんが「起立、令!」と声をかけた。

 肩がピクリと跳ねて、学級委員でもあったのかとびっくり仰天する。一緒にいることが多かったのに、今更だった。

 私はケガをしていたので立つのも一苦労で結局腰を少し浮かして、頭を下げることしかできなかった。

 その日の授業は当てられることもあったけど、柚香ちゃんがすぐに答えを書いたメモを渡してくれたおかげで間違えることはなかった。

 同じ日に椋翔も教室に復帰して、茫然としているクラスメイトの横を素通りしてホワイトボードの前に立つ。それからマーカーのキャップをとり、こう書いたんだとか。