だって、俺の食べかけだぞ。
いくら幼馴染でも「小さい頃やってたじゃん」のノリでやることじゃない。

でも、ここで断るのは大空を拒んでるみたいになるか?
寧ろ俺としてはここで食べてもらった方がいいのか!?

実に気持ちが悪い思考にスンっと冷静になって自分で自分に引いた。

「やらねぇよ」
「えーケチ」

諦めてくれたことにホッとしたが、大空は言葉だけだった。

前から手が伸びてくる。

「もーらい」
「あ!」

大空はサッと綺麗に切ったパンケーキを頬張った。

「んー美味しぃ」

流れるように行われた動作に俺は「やったな、こいつ」と呆れながらも、心臓の音があまりにも大きく、速かったせいで大空に聞こえてしまわないかと焦りもあった。

一緒にここに来るだけでもデートと意識しないよう精一杯だったのに悉くその努力を打ち砕いてくる。

「お前な」
「いいじゃん。私のもあげるから」

そう言ってアイスと小さく切ったワッフルがのったスプーンをこちらに向けてきた。

「何」
「何って食べていいよって。レモンアレルギーじゃないよね」
「そうだけど……それじゃあスプーン受け取りにくいじゃん」
「だから、この状態で食べればいいんだよ」