車は停められないが、自転車は三台は停められそうだ。

自転車を停めて店の中に入る。

店には社会人と思しき二人。

扉に着いていた鈴の音を聞いて、すぐに男性の店員がこちらに飛んできた。

「いらっしゃいませ。何名様でしょうか」
「二人です」
「承知しました。では、お好きな席へどうぞ」

俺は席はどこでもいいタイプなので大空に任せた。
まぁ任せるといっても、大空のことだから大抵決まっているも同然。

「今日は天気がいいから窓際」
「天気悪くても窓際だろ、大空は」

大空は何故かどんな時でも窓際を好む。
未だに理由は謎。

早速メニューを見て大空はレモン味のアイスと三日月型のワッフル、月光花の花びらが散らしてあるパフェ。
俺は三日月の形をしたパンケーキを頼んだ。

「結局パフェかよ」
「アイスのってるもん」
「商品名はパフェだ」
「アイスのってればアイス食べたことになるし!」

我ながらくだらない言い争いをした結果、圧力で負けた。

そして、それぞれ頼んだものが届く。
素早い提供だ。

「レモン爽やか~」
「フワッフワなんだけど、何これ」

美味しいスイーツに手が止まらない。
パンケーキを口に頬張って幸せを感じる。

だが、大空からの爆弾発言が満たされていた空気を切り裂いていった。

「パンケーキ、一口ちょうだい」

たった一言なのに一度では理解できず、何度か脳で繰り返した。