「まぁいいや。そうと決まれば早く帰ろ」

大空が自転車に乗ってさっさと行ってしまう。
その後を危険のないように一定の間隔を空けて追った。

「じゃあ、また後で」
See you later. (じゃあ、またね)
「Please come to my house after about ten minutes. (十分くらい経ったら俺の家に来てよ)」
I see. (わかった)

俺の家の前で別れ、それぞれ着替えてから大空がこちらに来ることになる。

約十分後。
時間ピッタリに大空は制服のワイシャツはそのまま、黄色のワイドパンツを着てきた。
ワイシャツのままなのは三時間ほどしか着ていないものを洗濯に出して洗濯物を増やしたくないだとか。
意外と家庭的。
そのズボンがお気に入りだと言っていたのを覚えている。

「何のアイスでもいいの?」
「好きなの買いな」
「……言ったな」

ニヤッと笑う大空を見て嫌な予感がした。

「な、なんだよ」
「言質取ったからね。何も文句言わないでよ」
「いったい何を交わせる気なんだ」

そんな恐ろしく高いアイスなんてスーパーにもコンビニにも他の店にだってない。
アイス程度で文句なんて言わないが……。

「隣町に新しいお店できたの知ってる?」
「知らない」