自分が熱を出しているのだということを忘れて、いつも以上にテンション高く話してしまった。
おかげで頭がフワフワする。

「ごめん、大空。ちょっと体調悪くなってきたから帰ってくれ」
「え、大丈夫!?部屋戻りなよ!」

大声が頭に響く……。

「お願いだから静かにしてくれ」
「あ、ごめん」

俺は大空の手をかりて階段を上る。

「鍵締めておくよ。ポストの中に入れておけばいいでしょ?」
「ああ」

通学用鞄に入っている家の鍵を取り出して大空に渡した。

「じゃあ、お大事に」
「ん。気をつけてな」

大空は背を向けて階段を下りていく。

すると、大空はゆっくり振り返った。

「どうした?」
「今話すことじゃないんだけどさ……私の好きな人は清夏の良く知ってる人だよ」
「は?」
「昨日の清夏、すごい気になってた気がしたから」

そう言って大空がもう一度振り返ることはなかった。

ベッドに横になって浮遊感のある頭で考える。

俺の良く知っている人なんて限られてくる。

しかし、途中から酷い頭痛で何も考えられなくなり、またいつの間にか眠っていた。