「別れようよ、あたし達」
言い出したのは彼女からだった。
「なんでよ」
「あたしは天音くんが好きすぎるから……」
「僕も大好きだよ?」
「好き過ぎちゃしんどいよ」
「愛情表現が下手でごめんね……」
「天音くんから、気持ちが伝わってこないよ……」
「これからはちゃんとするから――」
今日で分かれるつもりだったのに何を言っているんだ僕は。
「もう遅いよ」
その一言で、全てが手遅れなことを悟った。
「そっか、わかった……」
「あたしから誘ってせっかく来てもらったのにこんな話しちゃってごめんね」
「ううん。大丈夫……短い間だったけど幸せだったよありがとう」
「こちらこそありがとう」
僕から話して彼女が泣く予定だった。
でも今は僕が泣きそうになっている。
花火大会は終わった。静かな空間が場を支配する。
「――帰ろうか」
「うん。バス停まで送るよ」
「駅前のホテルとってるから大丈夫。でも駅前まで話したい。最後だから」
「そうだね」
ベンチから立ち歩き始める。
手は繋がない。もうそんな関係ではない。
「初めて話した時のこと憶えてる?」
「もちろん」
1件のDMからだった。
「天音くんからさ、鈴花さんの自撮りスマホのホーム画面にしていいですか?って」
「すごくタイプの人だったから」
「びっくりして、こんなブサイクをですか?って送ったよね。でもほんとは嬉しかった」
「そのときの髪色、確か緑だったよね」
楽しくて幸せで辛い思い出。
もう手に入ることのない2人だけのもの。
「鈴花さん。大好きだよ」
「うん知ってる。あたしも大好きだよ」
「どこが好き?」
「声と顔といつも”かっこかわいい”って褒めてくれるところ」
まだ最寄り駅まで半分近くある。
彼女と過ごした時間の中で初めて早く終わってほしい思った。
やっぱりこの人のことが大好きなんだと。ほんとは別れたくない。
「天音くんはあたしのどこが好き?」
「目元と口元と声と頑張り屋さんなところ」
「……やっぱり、別れたいなんて言わなきゃよかったなぁ」
そんなこと言わないでほしい。
最後の時間も楽しくいようよ。
そんなのもうしんどいだけだよ……。
「でももう、口に出しちゃったことはなかったことにはできないし、これ以上好きになっちゃうと依存になっちゃうから」
「そうだね……」
お互い、泣きそうなのを耐えながら話していた。
泣いてしまったら、ちゃんとお別れできなくなると分かっていた。
本当に幸せだった。話すたびに共有した日々を思い出してしまう。
「もう少しで終わっちゃうね」
「そうだね」
駅が見え始めていた。
速足だったんだろうか。
半分もあった道が気づけばもう終わっていた。
「じゃあここまでだね」
「うん……。バイバイ。幸せになってね」
「うん。それじゃあね」
彼女の姿が見えなくなるまで、僕は彼女の背中を見ていた。
その後で、コインロッカーから荷物を取り出しホテルに向かった。
言い出したのは彼女からだった。
「なんでよ」
「あたしは天音くんが好きすぎるから……」
「僕も大好きだよ?」
「好き過ぎちゃしんどいよ」
「愛情表現が下手でごめんね……」
「天音くんから、気持ちが伝わってこないよ……」
「これからはちゃんとするから――」
今日で分かれるつもりだったのに何を言っているんだ僕は。
「もう遅いよ」
その一言で、全てが手遅れなことを悟った。
「そっか、わかった……」
「あたしから誘ってせっかく来てもらったのにこんな話しちゃってごめんね」
「ううん。大丈夫……短い間だったけど幸せだったよありがとう」
「こちらこそありがとう」
僕から話して彼女が泣く予定だった。
でも今は僕が泣きそうになっている。
花火大会は終わった。静かな空間が場を支配する。
「――帰ろうか」
「うん。バス停まで送るよ」
「駅前のホテルとってるから大丈夫。でも駅前まで話したい。最後だから」
「そうだね」
ベンチから立ち歩き始める。
手は繋がない。もうそんな関係ではない。
「初めて話した時のこと憶えてる?」
「もちろん」
1件のDMからだった。
「天音くんからさ、鈴花さんの自撮りスマホのホーム画面にしていいですか?って」
「すごくタイプの人だったから」
「びっくりして、こんなブサイクをですか?って送ったよね。でもほんとは嬉しかった」
「そのときの髪色、確か緑だったよね」
楽しくて幸せで辛い思い出。
もう手に入ることのない2人だけのもの。
「鈴花さん。大好きだよ」
「うん知ってる。あたしも大好きだよ」
「どこが好き?」
「声と顔といつも”かっこかわいい”って褒めてくれるところ」
まだ最寄り駅まで半分近くある。
彼女と過ごした時間の中で初めて早く終わってほしい思った。
やっぱりこの人のことが大好きなんだと。ほんとは別れたくない。
「天音くんはあたしのどこが好き?」
「目元と口元と声と頑張り屋さんなところ」
「……やっぱり、別れたいなんて言わなきゃよかったなぁ」
そんなこと言わないでほしい。
最後の時間も楽しくいようよ。
そんなのもうしんどいだけだよ……。
「でももう、口に出しちゃったことはなかったことにはできないし、これ以上好きになっちゃうと依存になっちゃうから」
「そうだね……」
お互い、泣きそうなのを耐えながら話していた。
泣いてしまったら、ちゃんとお別れできなくなると分かっていた。
本当に幸せだった。話すたびに共有した日々を思い出してしまう。
「もう少しで終わっちゃうね」
「そうだね」
駅が見え始めていた。
速足だったんだろうか。
半分もあった道が気づけばもう終わっていた。
「じゃあここまでだね」
「うん……。バイバイ。幸せになってね」
「うん。それじゃあね」
彼女の姿が見えなくなるまで、僕は彼女の背中を見ていた。
その後で、コインロッカーから荷物を取り出しホテルに向かった。