「心配しなくても、俺から誘ったしごちそうしますよ。好きなもの頼んでください」


「え」



顔に出ていたのか、先生が気遣うように優しく笑った。


先生の笑顔なんて初めて見たものだから、思わず見惚れてしまう。



いつもクールで無愛想なくせに、こんな顔で笑うんだ…。



「華夜さん？」


「あ、はい…！ありがとうございます。それじゃあ…これで」



お言葉に甘えるにしてもさすがに高すぎるので、メニュー表の中でも一番安いコースを頼んだ。



「華夜さんはあそこで何をしてたんですか？ため息ついてましたけど、何か悩み事でも…？」


「あ、えーと…全然悩み事とかじゃなくて、買い物してたんですけど歩き疲れちゃって。そしたらたまたま榎本さんとため息ついた瞬間が被って…ふ、ふふっ、あんなことあるんですね。びっくりしましたよ」