「なんて、いきなり言われても困るに決まってますよね」


「え？あ…ごめんなさい。あの、榎本さんの気持ちに応えられない理由は今日初めて会ったっていうのもあるけど…私、明日から海外に行くんです。えと、詳しくは話せないんですけど、仕事の都合で。だから、気持ちは嬉しかったけど…ごめんなさい」



“24歳看護師の華夜さん”は今夜限り。


きっとこう言うのが正解だろう。



「そう…なんですか。もっと早く出会えていたら…なんて、女々しいですよね」



あまりにも悲しそうな顔で笑う先生に胸が痛くなって、なんと返せばいいのかわからなかった。


＊


「ご飯、とても美味しかったです。ごちそうしてくれてありがとうございました」



他愛もない話をしながらゆったりとした時間をレストランで過ごしているうちに、時刻は気づけば午後11時半を過ぎていた。


そろそろ帰らないと美代が心配して連絡をしてくる頃だろう。