伶龍が私を守ってくれる。
それだけで安心して弓が引けた。

「見えた!」

核が姿を現し、伶龍が一直線に向かっていく。
ただし、私が御符の矢を放つ射線上はあけてくれた。
弓から離れた矢は正確に核へと当たり、御符を貼り付ける。
その、次の瞬間。

「もらったーっ!」

刀を大きく振りかぶり、伶龍が核を叩き切った。
ピシリと音がしてヒビが入ったかと思ったら、核はさらさらと砂になって崩壊した。
同時に大量に蠢いていた蟲も、足も消える。

「かっ、た……」

緊張の糸が切れ、その場にぺたりと座り込んだ。

「おう。
勝った、勝ったぞ。
これで誰にも、なにも言わせねーぞ」

「そうだね」

伶龍が差し出してくれた手に自分の手をのせ、立ち上がろうとする。
しかし足に、力が入らない。

「なにやってんだよ」

不服そうに伶龍が唇を尖らせる。

「あー……。
なんか、気が抜けて」

情けなくて笑って誤魔化す。

「ったく。
世話が焼けるな」

はぁっと呆れるように小さくため息をついたあと、彼はしゃがんで背中を私に向けた。

「のれ」

「へっ?」

これってもしかして、おぶってやるって言っているの?