春光も小さく笑い、曾祖母に視線を向ける。
そこにはなんか、ふたりだけの空気が広がっていた。

「ええっと……。
私、邪魔?」

「ああいえ。
別にそんなことは」

見つめあっていたのに気づいたのか、小さく咳払いし、真っ赤になって慌てて春光が取り繕う。
反対に曾祖母はしれっと紅茶を飲んでいた。

「話聞いてくれてありがとう。
私ももうちょっと、悩んでみるよ」

少し雑談して気分も紛れ、腰を上げる。

「きっと伶ちゃんも翠ちゃんの気持ち、わかってくれるよ」

声をかけられてはっとし、思わず曾祖母の顔を見る。
視線のあった曾祖母は静かに頷いた。

「ありがとう、大ばあちゃん」

曾祖母は最初から、私がここに来た理由がわかっていたんだ。
まあ、いつもは曾祖母が大好きな和菓子なのに今日はシュークリームだなんて、気づくか。
それにしても、曾祖母にかかればあの伶龍も〝伶ちゃん〟なんだ……。

夕食の時間、伶龍はいなかった。
いつもなら横から私のおかずを盗っていくのに、あれからずっと姿を見せない。

「まだ喧嘩してんのかい?」

「うっ」

祖母に言われ、手が止まる。

「い、いや。
その……」