曾祖母に比べたら、母がいなくても私は恵まれている。
これは私自身が解決しないといけない問題だ。

「おまたせしましたー」

そのうち、春光が紅茶を淹れて戻ってきた。

「どうぞ」

「ありがとう」

差し出されたカップを受け取る。
紅茶のいい香りが鼻腔をくすぐり、少しリラックスした。

「じゃあ、食べようか」

「わあっ!
美味しそうですね!」

箱を開けて出てきたシュークリームを見て、春光が目を輝かせる。
一番好きなのは和菓子だが、次はケーキの類いが好きなのだ。

「いただきます」

大きな口を開けて春光がシュークリームにかぶりつく。

「クリームこぼさないように気をつけなよ」

「うっ」

言った端から春光の手にクリームが垂れてきた。
苦笑いで手近のティッシュボックスから数枚引き抜き、渡す。

「ほら」

「ありがとうございます。
ううっ、昔は僕のほうがお兄ちゃんだったのに、これじゃ翠様のほうがお姉ちゃんです……」

しゅんと項垂れてしまった春光がおかしくて、つい笑っていた。

「春光はさー、なにを考えて穢れと戦ってたの?
てか、刀って初めから、使命?とかわかってるの?」