やりきったといった顔を春光はしている。
私から見れば兄のような存在だったが、彼からすれば私は孫のような存在なのかもしれない。
……見た目はショタだけれど。

年も明け、儀式は粛々と進んでいく。
いつもは初日の出を拝んで新年を迎えられたのを喜び終わるのだが、今年はそのあとがある。

「では引き続き、刀受領の儀をおこないます」

進行の声で身体に緊張が走る。
これで刀を受け取れば、もう折れたりしないかぎり変更はきかない。
もっとも、鍵を渡した時点で決まっているのだけれど。

拝殿で祭壇の前に座り、祖母が来るのを待つ。
儀式に必要なので戻された鍵を握る手はびっしょりと汗を掻いていた。
そのうち千早を着込んだ祖母と、その後ろに細長い木箱を捧げ持った威宗が入ってくる。
あの箱の中に私が選んだ刀が入っているのだろう。

「ご確認を」

威宗が私の前に木箱を置く。
そこの結ばれている紐についている木札に書かれた番号と、自分の持つ鍵についた木札に書かれた番号が同じなのを確認した。

……ここで違うって言ったら、まだ選び直せるのかな。

そんな考えが頭を掠めていく。
しかしいまさら、引き返せないのだ。