昔は天皇の前で舞っていたらしいが、今はそれはないので少しマシだと思っていた。
巫女装束に裳まで着けた私と祖母が所定の位置につき、頭を下げると音楽が流れ出す。
もちろん、生演奏だ。
それにあわせてゆっくりと立ち上がり、床の上に足を滑らせながら儀式用の刀を握る手を動かす。
ゆったりとした動きながらもこれがなかなか難しい。
けれど私は十二のときからこの舞を舞ってきた。
もう手慣れた……嘘です。
先日の練習で祖母から動きが雑だと叱られたばかりだ。
篝火に照らされる舞台の上を、つま先、指の先まで神経を行き渡らせ、舞う。
これには今年一年の穢れを絶ち、濯ぎ落とす意味があるそうだ。
毎年そうだが、次第に刀を持つ腕が重くなっていく。
手が痺れて刀を落としそうになるが、根性で握り続ける。
それでももう、限界が近い。
祖母に目配せされて祭壇の前へと歩を進めた。
そこでは腕の太さほどあるロープ――しめ縄を威宗と春光が両端から持ち上げている。
あのしめ縄が今年一年の穢れを表しているらしい。
「はぁっ!」
祖母とタイミングをあわせ、しめ縄を一息に刀で切り落とす。
巫女装束に裳まで着けた私と祖母が所定の位置につき、頭を下げると音楽が流れ出す。
もちろん、生演奏だ。
それにあわせてゆっくりと立ち上がり、床の上に足を滑らせながら儀式用の刀を握る手を動かす。
ゆったりとした動きながらもこれがなかなか難しい。
けれど私は十二のときからこの舞を舞ってきた。
もう手慣れた……嘘です。
先日の練習で祖母から動きが雑だと叱られたばかりだ。
篝火に照らされる舞台の上を、つま先、指の先まで神経を行き渡らせ、舞う。
これには今年一年の穢れを絶ち、濯ぎ落とす意味があるそうだ。
毎年そうだが、次第に刀を持つ腕が重くなっていく。
手が痺れて刀を落としそうになるが、根性で握り続ける。
それでももう、限界が近い。
祖母に目配せされて祭壇の前へと歩を進めた。
そこでは腕の太さほどあるロープ――しめ縄を威宗と春光が両端から持ち上げている。
あのしめ縄が今年一年の穢れを表しているらしい。
「はぁっ!」
祖母とタイミングをあわせ、しめ縄を一息に刀で切り落とす。