そこにはこの時間は寝ているはずの曾祖母が立っていた。
その目は大きく見開かれ、いつもは曲がっている腰がしゃんと伸びている。

「ああ。
大穢れが、来るよ」

振り向いた祖母が、私たちに告げる。

「……大穢れ」

つい、その単語を繰り返す。

「大穢れが来るのか!?」

不安な気持ちになっている私とは違い、伶龍は大興奮だ。

「出現予定日は十二月二十四日」

穢れは自然災害のようなもので、いつ来るのかわからない。
事前に宣託が下るだけ、地震よりはマシだ。
それでも、なんでよりによってその日に?
しかも大穢れだとか。

「とんだクリスマスプレゼントだね」

祖母は笑っているが、それしかできないのだろう。

「そう、だね」

こんなクリスマスプレゼント、遠慮したい。
戦う私たちも迷惑だが、非難する人たちも迷惑だ。
それに大穢れとなれば多数の市町村に避難命令が出る。

「アタシも出るよ」

「そうだね。
よろしくお願いします」

祖母が曾祖母に出撃を頼む。
曾祖母にまで出てもらわなければならない規模の穢れって、どれだけ強いのだろう。

「なに、大丈夫さ。
いつもどおりやれば」