「私は後方支援で、現場はアンタに任せる。
もちろん、手に負えないクラスの穢れが出たときは援助に出るから、心配しなくていい」

「……わかったよ」

我が儘は言えなかった。
本当なら母が現役で、祖母は引退していてもおかしくないのだ。
母が早くに亡くなった分、祖母には苦労をさせている。
その分、私がしっかりしなければ。

とはいえ、朝のお勤めはやはり、祖母がやる。
私はまだ、〝条件〟とやらが揃ってないらしい。
私は刀を授かって巫女にはなったが、まだ巫女としては覚醒していない状態だという。
どうすれば覚醒するのかと祖母にも曾祖母にも問うたが、そのときが来ればわかるとしか教えてくれなかった。

今朝のお勤めでもやはり、伶龍は私の隣で船を漕いでいる。
そういうところはいまだに変わらない。
それに祖母の声が大きくなるのもいつもの光景だ。
私はといえば、もうすぐやってくるクリスマスにうきうきしていた。
もう、伶龍にプレゼントは用意してある。
料理も手配済みだ。

「……来る」

祝詞が終わった祖母が、小さく呟く。
その声は酷く重かった。

「来るね」

別の声が聞こえ、思わずそちらを見る。