私の背中を思いっきり叩いた伶龍の顔は赤い。
そんな彼を見て笑っていた。

戻ってきた仮設司令所では、祖母と威宗が待っていた。

「やったね。
もうこれで一人前だ」

「痛い、痛いよ、ばあちゃん!」

背中をバンバン叩いて私を労う祖母に苦笑いする。
しかし、一度は破れたA級相手だったのだ、今度は大丈夫だと思っていても不安だったのだろう。

「あとは翠に任せて、私も引退しようかね」

「えっ、それはまだ勘弁して……!」

祖母の口から〝引退〟なんて言葉が出てきて慌ててしまう。
A級に勝てたとはいえ、ようやくなのだ。

「もう私もあちこち身体にガタがきててね。
C級でも穢れと戦うのは骨が折れるんだよ……」

手を置いた肩を動かしながら、祖母がわざとらしくため息をつく。
けれどかくしゃくとしていて修行でも私より元気だった祖母から弱音を吐かれても、あまり説得力がない。

「なに言ってんだ、ばばぁ。
ばばぁは殺しても死なねーだろうがよ」

今度は鬱陶しそうに伶龍がため息をつく。

「私をばばぁなんて言うのはどの口だい?
この口か?」

「いてててっ!
やめろ、ばばぁ!
いや、おばあ様!」