消えていく穢れの姿を、まるで夢でも見ているかのように眺めていた。

ビルの合間を軽やかに駆け、私の目の前の手すりに伶龍が着地する。

「おう、勝てたな」

にやっと意地悪く、彼が笑う。

「うん。
勝てたね」

それに私も、笑って返した。
一度は負けたA級だが、今度は勝てた。
勝てたんだ。

「ありがとう、伶龍」

「別に礼を言われるようなことなんかしてねーだろ」

伶龍と一緒に階段を下りる。
仮設司令所に戻る私たちとは反対に、作業員たちが処理へと向かう。
汚染液はばら撒かれていないので、防護服は着ていない。

「ううん。
だって伶龍がいるから、安心して戦えたもの」

伶龍がいるから大丈夫だって思えた。
伶龍がいるから私は死なない。
全部彼に任せて、私は核を露出させることだけに集中すればいい。
そう思えたのはあれから築き上げた、信頼関係があるからだ。

「でも、また足を避けねーから、死ぬ気なのかと思ったぞ」

人の悪い顔で笑う伶龍はきっと、私の答えを知っている。

「伶龍が絶対に私を守ってくれるから、大丈夫だって思ったんだよ」

「ぬかせ」

「あいたっ!」