それでもかまわずに弓をかまえた。
足が私に向かって振り下ろされると同時に、矢を放つ。
迫り来る足をじっと見据えた。

「させるか!」

ガキンと重い音がし、足は私に触れるよりも先に伶龍によって切り落とされた。

――おおおぉぉぉぉん!
痛覚はないはずなのに、穢れからひときわ大きな雄叫びが上がる。

「伶龍!」

「おうっ!」

私の声と同時に、伶龍が穢れに向かって駆け出す。
それを確認し、御符をセットした矢をつがえた。
目の前にはらんらんと赤く輝く核が見えている。
再び、穢れの足が持ち上がった。

「任せろ!」

軌道を変え、伶龍がその足へと向かっていく。
かまわずに私は、核へと矢を打った。
緩やかな弧を描きながら飛んでいった矢は核へ突き刺さり、御符が貼り付く。
それと同時に穢れから悲痛な声が上がる。

「伶龍、今!」

「了解!」

叩き切った足の関節を足場にし、伶龍は大きく跳躍した。
そのまま穢れ本体に飛び乗り、核へと刀を突き立てる。

「もらったーっ!」

刀が刺さり、ピシリとひび割れる音がした。
そのすぐあと、さらさらと砂になって核が崩壊する。

「勝てた……」