選挙結果発表の日、講堂には全校生徒が集まっていた。
舞台の上には学園長が厳かに演壇に立ち、教職員、生徒会顧問、そして立候補者たちの名前が読み上げられていく。
シュヴァリエの姿はない。
だが、彼がもたらした波は、すべてを変えていた。
リベルタ、ティリット、セレネ、アルテミス。
事件を追い、暴いた彼らもまた、講堂の片隅から静かに見守っていた。
壇上には、リリアン・セインの姿がある。
かつてEの仮面を通じて操られていた少女は、今、自分の足でそこに立っていた。
学園長が、投票結果を読み上げる。
「本年度 生徒会長選挙、開票結果を報告します」
「リリアン・セイン、得票数:612票」
「アルテミス・ポアロ、得票数:479票」
「その他候補者:49票」
「よって、アンソレイエ学園の生徒会長には、リリアン・セインが正式に選出されました」
大きな拍手が、会場に満ちる。
しかしそれは熱狂ではなく、静かな敬意のこもった拍手だった。
彼女の過去を知ったうえで、なお託された信頼。それが、今日のこの瞬間に結実していた。
リリアンはマイクの前に立ち、深く一礼する。
「私は、間違いました。仮面の言葉を本心と錯覚し、操られていたことに気づかぬまま、他人の信頼を裏切った」
会場が静まる。
「それでも、皆が私を選んでくれたのなら、私は変わります。自分で考え、自分で選び、自分の言葉で、この学園を守ることを、ここに誓います」
リリアンはゆっくり顔を上げ、視線を四人の探偵たちに向けた。
「そして、真実を暴いてくれた仲間たちに、心からの感謝を。あなたたちがいてくれて、本当によかった」
その言葉にアルテミスは微笑み、静かに頷いた。
リベルタは肩をすくめながら、ぽつりと呟く。
「騎士は去ったが、今度は女王が目を覚ましたってことだな」
ティリットがにやりと笑う。
「これなら、任せても大丈夫そうだ」
セレネは手帳を閉じながら、優しく言った。
「嘘が終わって、本物の物語が始まる。今度は、みんなが主役ね」
拍手が続く中、アルテミスはそっと囁いた。
「ようやく、夜が明けたわね」
講堂の天井のガラスから、柔らかな陽光が差し込む。
新しい時代の光が、静かに学園を包んでいた。
舞台の上には学園長が厳かに演壇に立ち、教職員、生徒会顧問、そして立候補者たちの名前が読み上げられていく。
シュヴァリエの姿はない。
だが、彼がもたらした波は、すべてを変えていた。
リベルタ、ティリット、セレネ、アルテミス。
事件を追い、暴いた彼らもまた、講堂の片隅から静かに見守っていた。
壇上には、リリアン・セインの姿がある。
かつてEの仮面を通じて操られていた少女は、今、自分の足でそこに立っていた。
学園長が、投票結果を読み上げる。
「本年度 生徒会長選挙、開票結果を報告します」
「リリアン・セイン、得票数:612票」
「アルテミス・ポアロ、得票数:479票」
「その他候補者:49票」
「よって、アンソレイエ学園の生徒会長には、リリアン・セインが正式に選出されました」
大きな拍手が、会場に満ちる。
しかしそれは熱狂ではなく、静かな敬意のこもった拍手だった。
彼女の過去を知ったうえで、なお託された信頼。それが、今日のこの瞬間に結実していた。
リリアンはマイクの前に立ち、深く一礼する。
「私は、間違いました。仮面の言葉を本心と錯覚し、操られていたことに気づかぬまま、他人の信頼を裏切った」
会場が静まる。
「それでも、皆が私を選んでくれたのなら、私は変わります。自分で考え、自分で選び、自分の言葉で、この学園を守ることを、ここに誓います」
リリアンはゆっくり顔を上げ、視線を四人の探偵たちに向けた。
「そして、真実を暴いてくれた仲間たちに、心からの感謝を。あなたたちがいてくれて、本当によかった」
その言葉にアルテミスは微笑み、静かに頷いた。
リベルタは肩をすくめながら、ぽつりと呟く。
「騎士は去ったが、今度は女王が目を覚ましたってことだな」
ティリットがにやりと笑う。
「これなら、任せても大丈夫そうだ」
セレネは手帳を閉じながら、優しく言った。
「嘘が終わって、本物の物語が始まる。今度は、みんなが主役ね」
拍手が続く中、アルテミスはそっと囁いた。
「ようやく、夜が明けたわね」
講堂の天井のガラスから、柔らかな陽光が差し込む。
新しい時代の光が、静かに学園を包んでいた。


