◇
お茶会の会場となっていたホールには、既にたくさんの生徒たちが集まっていた。
その中心にいるのは、母と僕の三人の兄たち。そして兄たちの婚約者。
中条学園の大学部に所属する兄たちに寄りそう婚約者たちは、いずれも容姿能力共に優れた名家の令嬢たちだ。
「すみません、遅くなりました」
遅れて会場に入った僕は、兄たちの元に駆け寄る。
「やっと来たか」
「はっ、聞くところによると今日の授業丸々サボってたらしいね。このお茶会が嫌で逃げたのかと思った」
「まあ気持ちはわかるけどな。おふくろもえげつないこと考える。あの化け物……じゃない、お前の恋人を人前に出して俺たちの婚約者と比べようだなんて。同情するぜ、翔」
三人の兄は、それぞれ好き勝手なことを言う。
それを聞いていた周囲の生徒たちからも、馬鹿にしたような笑い声が漏れる。
「それで、例の女はどこです?」
母は、厳しい口調で僕に聞いた。ホールに入ってきたのが僕一人だったからだ。
「香月ならもうすぐ来ます。準備に手間取っていたので、僕だけ先に」
数時間前、あの川原で彼女は言った。
『翔様。私……今日のお茶会に出ます。やっぱり堂々と貴方の隣にいたいです。鉢は取れたけれど、一般庶民なのには変わりないので、結局笑いものになるかもしれませんが』
僕の恋人として、皆にも認めてもらいたい。香月がそう思ってくれていたのが、僕はたまらなく嬉しかった。
だから今は、彼女を信じて待つことにした。
お茶会の会場となっていたホールには、既にたくさんの生徒たちが集まっていた。
その中心にいるのは、母と僕の三人の兄たち。そして兄たちの婚約者。
中条学園の大学部に所属する兄たちに寄りそう婚約者たちは、いずれも容姿能力共に優れた名家の令嬢たちだ。
「すみません、遅くなりました」
遅れて会場に入った僕は、兄たちの元に駆け寄る。
「やっと来たか」
「はっ、聞くところによると今日の授業丸々サボってたらしいね。このお茶会が嫌で逃げたのかと思った」
「まあ気持ちはわかるけどな。おふくろもえげつないこと考える。あの化け物……じゃない、お前の恋人を人前に出して俺たちの婚約者と比べようだなんて。同情するぜ、翔」
三人の兄は、それぞれ好き勝手なことを言う。
それを聞いていた周囲の生徒たちからも、馬鹿にしたような笑い声が漏れる。
「それで、例の女はどこです?」
母は、厳しい口調で僕に聞いた。ホールに入ってきたのが僕一人だったからだ。
「香月ならもうすぐ来ます。準備に手間取っていたので、僕だけ先に」
数時間前、あの川原で彼女は言った。
『翔様。私……今日のお茶会に出ます。やっぱり堂々と貴方の隣にいたいです。鉢は取れたけれど、一般庶民なのには変わりないので、結局笑いものになるかもしれませんが』
僕の恋人として、皆にも認めてもらいたい。香月がそう思ってくれていたのが、僕はたまらなく嬉しかった。
だから今は、彼女を信じて待つことにした。