そうやって馬鹿正直に答えれば、莉桜は一瞬きょとんとした。が、すぐに声を上げて笑いだす。
「あは、はははは」
「そんなに笑わなくても」
「もう、言うの遅いよ」
「ごめん」
「ま、佑馬が私のこと大好きだってことぐらい知ってたけど」
「だよな」
「……私も好きだよ。佑馬のことが大好き!」
「ん、知ってた」
僕たちは目を合わせて笑い合った。
照れくさくて、だけどこれ以上ないほど幸せな気分だ。
それからどちらからともなく顔を寄せ合い、たった一回、ほんの一瞬だけ、唇を重ね合わせた。
「あは。佑馬よ、キミの眼鏡はちょいと邪魔ですなあ」
「そりゃ悪かった」
「うそうそ。……ねえ佑馬。一枚だけ、一緒に写真撮らない?」
莉桜は照れくさそうな笑みを浮かべたまま、バッグからスマホを取り出して言った。
唐突な申し出に、僕は戸惑って目を瞬かせる。
「写真? 写真はあんまり……」
「好きじゃないんでしょ? 前も聞いた」
どうして好きじゃないのかと聞かれれば、写真写りが悪いからという浅い理由以外にないのだが。
ただでさえ表情が豊かな方ではないのに、カメラを向けられたらどうしていいか分からなくなり、普段の状態に輪をかけて固い表情になってしまうのだ。そんなものがこれから先いつまでも残り続けるのだと考えたらたまったものではない。
でもまあ、その程度のものなので……
「ねえ、お願い。一枚だけ!」
好きな女の子からそう一生懸命お願いされてしまっては、簡単に揺らぐのも事実。
僕は一つため息をついて、「わかった」としぶしぶ了承した。
その返事で莉桜はパッと顔を輝かせるので、むしろ初め拒否していたのが申し訳ない気がしてきた。
「よーし、じゃあ最高の一枚を撮るぞ! せっかくだから桜の木と川が背景になるようにこのへんで……」