
作品番号 1705865
最終更新 2023/10/26
どんなに努力しても、変えられないことがある。
血の滲むような努力でこの身を削っても、どうにもならないことがある。
この世の中は、悲しいことにそんなものばかりで溢れている。
───それでも。……それでも。
俺は変えたかった。
他人に嘘ばかりついて、本当の自分、ありのままの醜い自分を曝け出せない僕自身を、変えたかった。
そんな俺の前に、彼女は現れた。
「私、もうすぐいなくなるんだ」
儚い笑顔でそう言った彼女は、あの日、
本当に僕の前からいなくなった。
彼女は残りの数ヶ月を力強く生きる。
自分のためではなく、“だれか”のために───。
───さあ、願おう。
明日は必ず、やって来ると。