とりあえず、あまり気にしないでおこう。

確かに夏帆の言う通り、あの一杉君が遊びで私に近付いているとは考え難いし、かと言ってこちらに好意があるという自惚れた勘違いな奴にはなりたくない。

こうして一定の距離を保っていれば、瀬川さんに攻撃されることもないと思うし、何はともあれ平穏な日常を過ごすためにも必要最低限なこと以外は二人に関わらないでおこう……。


……。

…………なんて、ほとほとくだらない話だなと頭の片隅で冷静に突っ込む私。


そうこうしていると、いつの間にやら夏帆はカウンター近くのテーブルを陣取っていて、湯気立つカツカレーを前に早く来いと催促してくる。

結局、散々悩んだ挙句、カツ丼でもカツ定食でもないカツカレーを選んでいた彼女の気分屋具合に呆れるのと、うちの食堂はどれだけカツを推しているのかというちょっとした疑問を抱きながら、私は慌てて食堂のおばちゃんに食券を渡したのだった。