すると、突然私の腰に相馬君の腕が回ってきて、そのまま優しく抱きしめられた瞬間、視界が暗くなると同時に唇から伝わってきた柔らかい感触。

そこから感じる相馬君の温度。

それは熱くて、甘くて、苦しくて。

自分からとは違う、好きな人からのキスはこんなにもドキドキするものなんだと、蕩ろけそうになっていく。

ようやく私の唇を解放した相馬君は、相変わらず頬が赤くなりながらも、先程とは違う穏やかで真っ直ぐとした目をこちらに向けてくる。

「分かった。君がそう言うのならもう遠慮はしないから、覚悟してね?」

そして、相馬君らしからぬ大胆発言に、全身の熱が更に急上昇してしまった。

私はなんて返事をすればいいのか訳が分からず、固まったまま頭がずっと混乱しっぱなしだ。


相馬君って、今まで彼女いないって聞いていたのに、この時折り見せる大人びた仕草と相変わらずの余裕な態度は一体何なんだろうか。

というか、翻弄されつつも、やっぱりなんだかんだであの凛ちゃんと華ちゃんのお兄ちゃんだけあるのかな。

なんて余計な思考を巡らせていると、そんな私がよっぽど可笑しかったのか。

相馬君はくすくすと小さく笑うと、言葉どおり、容赦なく私の唇を再び奪い始めたのだった。