嗚呼、何故人は、得体の知れないもの、一部の人間にとって都合の悪いものを、全ての"悪"にするのだろうか‥‥。

 これは、古今東西世の常だ。人は皆、一度恐れたものを知ろうともさず、寄ってたかってそれらを迫害するか、それを畏怖する。
 それは、人の恐怖心によるものなのか、もしくは、権力者が保身のためにやっていたことが、いつしか全員の"悪"へと事実を歪められるからか‥‥。どちらにしろ、迫害され、勝手に畏敬や畏怖の対象となった彼らからすればたまったものではないだろう。
 しかし、怪異たちは、それを一概に責める事ができない。
 怪異は人の噂や恐怖心から生まれ、存在できるからだ。人の負の感情は、皆例外なく、最初は尊敬や興味から始まる。それがそのまま『尊敬』や『興味』のまま終わるのか‥‥それとも『畏怖』となってしまうのか‥‥それはわからない。
 しかし、その"常"のおかげで彼らがこの倭ノ国に存在できるというのも、また事実。これもまた、一概には責められない。
 しかし、それが誰かの悲劇を生むことを、私たちは忘れてはならない。