「今日は、映える青空ゼリーと宝石ゼリーを作ったぞ」

 エイトがきれいなゼリーを人数分作って持ってきた。時々気分転換に料理することがある家事男子であり料理男子のエイト。

「マジキレ―なんですけど」
 サイコが絶賛しながらスマホで写真を撮っている。

「これ、どうやって作ったのですか?」

「これは、鍋にブルーハワイシロップと砂糖を入れ、沸騰直前にゼラチンを加えて混ぜる。そのあと、パットに流して冷蔵庫で冷やし固める。そのあと、フォークなどを使って肩を崩して水を切ったヨーグルトを入れると雲みたいだろ。ギリシャヨーグルトみたいなものだとそのまま入れてもOKだぞ」

 青い空に白い雲といったデザートをグラスに何個か持ってくる。さらに、イチゴシロップやレモンシロップで作ったゼリーを混ぜたものもある。これは宝石のようにあざやかできれいな三色だ。

「青空ゼリーと宝石箱ゼリーどっちにする?」

 ナナは、宝石箱ゼリーを手に取る。こちらは、三色をダイス状にカットしてある。こんなにきれいな一品をサッと作ることができるエイトはまるで芸術家のようだ。元々アーティスト肌なのかもしれない。漫画を創作しているのだから、料理もアートのひとつなのかもと思いながら、ゼリーを食べる。みんなが笑顔の楽しい時間が過ぎた。この人たちが、残酷なことをする半妖とはとても思えなかったし、普通においしいものをおいしいと味わいながら食べる人間としか認識はできない。

 樹はいつも優しい笑顔で、ナナはその笑顔に癒される。でも、何もプライベートなことは知らない。同居しているエイトのことだってまだまだ知らないわけだから、これから少しずつ知っていきたいと思っていた。

「樹さんは、彼女とかいないんですか?」
 さりげなく聞いてみる。やはり以前から少し気になる存在である。

「いないよ」
 笑顔で彼女否定。

「ナナちゃんは?」

「私はいないですよ」

「いたら、保護者であるリーダーが黙っていないだろうな。あの人、結構心配性だし、彼氏に説教しそうだから気を付けてね」

 やっぱり、彼氏にはなってくれないってことかな。だって、リーダーのエイトに説教されたくないよね。勝手に絶望していると――

「そうだ、ナナ、彼氏とかできたら俺に紹介しろよ。俺は父親代わりで美佐子さんの大事な娘を預かっている身。ちゃんとじっくり見極めるから」

 エイトが本気顔で言うので、これは、彼氏なんて作ったら即ダメになりそうな予感しかしなかった。樹は忠実な部下のようなもの、エイトは絶対に許さないだろうし、ボスには逆らうことはないだろう。そのほかの男子を連れてきても難癖つけられそうな予感しかしない。だって、エイトって見た感じちょっと怖いし、実際死神としての裏家業をしているくらいだから、普通の恐怖とは違う恐怖感がある。