主要な登場人物や用語の説明

〇主要登場人物

・主人公。オルド・クレイモア。名門貴族出身の魔術師。
 生まれつき魔力の泉という、魔力の上限が天元を突破しているチートスキルを持っていたが、それを活用できるジョブになることができずに親に見放される。
 その後は、家を追い出され、冒険者として細々とやっていくが、付与術士は基本的に支援術士などの下位互換以下とみられており、人気がなかったために苦労する。
 エンチャントは武器や防具やアイテムに『一時的』に魔力を付与して効果を高めるのだが、効率が悪く、効果が持続しないことから、全体的な能力を上げることのできる支援術士に劣るとされてきたのだ。
 そのうえ、魔術師はジョブ特性として、戦闘力はゴミレベルであったため、自分で戦うことも厳しいため、付与術士は寄生ジョブとまで呼ばれ嫌われていたのだ。
 オマケに、付与術の魔力は基本的に使用魔力の量が一定であるため、オルドがもつ膨大な魔力も無用の長物であったのだ。

 だが、オルドは生きていくために冒険者を続けていたのだが、ある日、王国より招集され、魔王討伐部隊に一員として選ばれてしまった。
 それは実力ではなく、魔力タンクとしての役割。とあるアーティファクトを利用して、味方に魔力を分け与えるのがオルドの仕事であった。当初は雑魚と呼ばれていたが、その膨大な魔力に助けられる場面が生起するにつれ徐々に認められていくのだが……。
 最終的に魔王戦に勝利するも、人類そして討伐部隊も大きな損害を受けて壊滅。生き残ったオルドは、討伐部隊のリーダーの策略によって時間遡及のアーティファクトを使わされることになる。
 だが、それが決定的な運命の分かれ道であった。
 膨大な魔力が、たった数秒の時間遡及のアーティファクトの能力を軽く超え、気が付けば、オルドは十数年前の幼かった自分に戻っていた……。記憶、経験をそのままに、全てが始まり、全てが終わったあの日の何十年も前に戻ってしまったのだ。
 そこから、オルドのやり直しの冒険が始まることになる。

・リーベル
 魔王討伐部隊のリーダー。勇者と称され、聖剣や竜鱗の鎧などのアーティファクトで武装した大剣使い。
 普段は冷静沈着でカリスマ溢れる人物であるが、危機に際しては意地汚く本性を見せる。また、自身の力に過信するあまり、内心自分より弱いものを見下している。
 オルドなどは雑魚の魔力タンクと公言してはばからないが、外面はいいので、誰もが彼に好感を抱いている。
 しかし、もとはただの平民で学はなく、力に溺れる傾向がある。
 魔王討伐の際に相打ちとなるが、隠し持っていたとっておきのアーティファクトで時間を遡及し、助かろうとする。
 だが、それは相打ちになった魔王も同時に時間遡及することを意味するが、本人的には、次は勝てると思っている。当然、自分の命を助けるときだけに使おうと、時間遡及アイテムを持っていることは誰にも明かしていなかったのだが……。

その他の人々
 ※ヒロイン(メイリン)
  オルドの家のメイドであったが、のちに回復魔法の才能を持っていることが分かり才能を伸ばすことで、魔王討伐メンバーに選ばれる。
  オルドのことは家にいた頃から慕っており、貴族と家人の子供という立場ではあったものの幼馴染である。
  討伐作戦の途中に死亡。オルドがリーベルに不審感を持った原因でもある。(メイリンが死んだときには時間訴求アイテムを使おうとしなかったため)

 ※ヒロイン(リズ)
  孤児の少女。無口で不愛想だが、戦力外のオルドを良く守ってくれる守護天使のような存在。生存力に優れ、討伐メンバーとして、オルドと共に最後まで生存しているが、リーベルによって刺されて瀕死の重傷を負う。(時間遡及のアーティファクトに使用を渋るオルドに決心を促すため)

 ※実家の人々
  親父や兄弟。当初は仲が悪く、追い出した側と追い出された側で、ギスギスしていたが、のちに父が魔力タンクとして使われるオルドを気にしていたことを知る。
 ※魔王
  正体不明の人類の敵。突如魔物の大群を率いて人類を強襲。壊滅的な被害を及ぼす生きた災害。