プロローグ


「まひる、大きくなったら僕と結婚してほしい」

 そう言って朔夜(さくや)くんは、出店で買ったであろう三日月のマークが入った指輪を自分の手のひらに乗せて小さな私に向かって差し出した。
 さっきまで、迷子になって泣いていたのに。

 大好きな朔夜くんが私を探し出してくれて、結婚しようと言ってくれた。
 そうしたら、迷子になって心細かったこととか、一人で歩き回ってお腹が減ったこととか、履き慣れない下駄で足が痛いこととか、全て吹き飛んでしまった。
 それぐらい衝撃的なことで嬉しいことだったのだ。

 だから、私はあの日こう答えたのだ。

「うん! 約束だよ!」