機械と人間で満ち溢れる街があった。積木が微妙に歪んだような建物が多く空を覆っているため、地上はいつも薄暗い。
 バッタのような足で動く乗り物があったり、フラフープ状になっている無機物で灰色の物体が浮いており、その上にまた人間が浮いていたり。とにかく機械が多く存在していた。好みも人それぞれ。
 そんな街では当然機械の修理する人間が重宝されており、今日も彼女の元に困った人達がなだれ込む。
 ピンク色の作業着を身にまとい大きな帽子の位置を整える。
 名前を『ライゲキラム』と言う(以後ラムと呼ぶ)。
 綺麗なピンク色の電気で花火を散らせ壊れていた客の機械は、一瞬にして修理された。
 因みに、彼女の能力は機械に電撃を浴びせる事で修理が出来るという物である。
 この世界では150年前から超能力者が現れ、右往左往して今では世間では欠かせない存在だ。
 客は嬉しそうにお礼を言いながら作業部屋を出る。一通り終えふぅ、と一息額の汗を拭う。
「今日もいい仕事したなぁ。さて、晩御飯食べよ」
 そう言って立ち上がるとバタン! と扉が開く。青年ぐらいの男性で汗を垂らしながら片手で持てる端末を握っていた。
 どうしました? とラムは焦った表情で投げかける。
「どこ行ってもこれ直らなくて! おじいちゃんとの思い出の物なんですけど!」
 時間外ではあったがついでと思い、作業に取りかかる。
 このぐらいなら少し電撃を浴びせれば直るはずだが全く微動だにしない。何度試行しても結果は変わらず。
「何でしょうねこれ? 申し訳ないですけど、他を当たってください」
「そうですか……ありがとうございました」
 とぼとぼ出る。後味悪い結果になってしまったが、次! と頬を自分で引っぱたいて気持ちを切り替える。
 だが一歩外を出ると住民は大騒ぎ、縦横無尽に逃げ回っていた。
「なにこれ」
 ただ素直な感想しか出なかった。
 禍々しいオーラを感じ取り空を見上げる。大きく空は裂け青空が広がっていた。
 おかしい夢でも見ているんだろうかと顔を左右にブルブル振り回しても、その景色に変わりはない。
 空にある裂け目から警察の制服でヘルメットで顔を覆う、この世界にはないバイクのような乗り物で高速でアーマーで体を覆う数名が高速で出てきては建物と建物の縫い目を飛び回る。
 内一人がラムの前に降り立ち一人の魔女の写真を見せてきた。茶髪で成人済みだろう。
「この怪しげな魔女を知りませぬか!」
「え! すいません。ずっとここで作業してたもので」
「そうであるか! 失礼した!」
 再びバイクのような物に乗っては瞬きする間に姿は無かった。
 どっちかと言うと、この飛び回るバイク集団の方が怪しい。
 とにかく自宅へ帰ろうとイナズマの形をした羽を背中から二つ展開させ、怪しい集団に衝突しないかなと恐れながら何とか自宅への岐路へ着いた。


 帰ると魔女がいた。因みに成人済みではなく7歳前後のかなり幼い魔女。
 一瞬ドキッと心臓が悪い挙動しつつ、探偵でもある幼女にただいまと笑顔を作って言う。
「なんか悪い物でも食べたか? ラム」
「違うよ、ホームズ。だって外騒ぎなってるじゃん」
 またホームズも作業に夢中になっていた模様で騒ぎに気付いていなかった。窓を見てまたバイクの人が一瞬横切る。
「なんだあれは。ホームズも知らないぞ」
 落ち着いた足取りで近寄り窓を開ける。今頃多くの住民が自宅にこもって騒ぎは落ち着いているが、沢山のバイクに乗った謎の人達が飛び回る。
 だが騒音などなく風圧以外の被害は全く無いと言えた。
「撃ち落としていい?」
「だめだめだめだめだめー! また余計な事しないでー!」
 すぐにホームズに向かってダイビング、窓辺にあった花瓶やら様々な物が落下した。
「幾ら……ぜぇぜぇ……何でも、ハァ……まずい」
「そ、そうか。悪かったな」
 悪い事を言った気分ではなかったが、多少はしょんぼりしてしまう。
 止まったまま動かないラムの頭をホームズはなでなでした。