空は高い所にある。
 そう地上の人は教えられてきた物だ。
 地上にいる住民、通称地上の民は遠い昔から空に憧れを抱き魔力や機械の化学を使っては度々空を泳ぐ。
 どちらも何かしらのエネルギーが必要でずっとは飛べない。
 それでも諦めの悪い地上の人間は世代を交代しても研究を続け、遥かに長時間の浮遊する化学も魔力も手にした。

 所変わって空。地上から見ればとてつもなく高い場所に位置する、氷海の空と呼ばれる空気で、どこよりも寒い。
 様々な大きさに散らばっている氷塊を避けながら探索を続ける2人組がいた。
 白い髪の20歳手前の女性が、
「寒い! 帰って一流シェフの作るスープが飲みたいわ」
 と、剣を背負いながら厚着を震わせ隣の、いかにもクールそうな魔導士に愚痴をこぼす。
 名前を『リップル インカーネイションと言う』。以後リップルとする。
「そうですね、姫様。この『一件』が終わったら、早急に係の者に伝えておきます」
 分厚いコートと片手にはもっと分厚そうな魔導書。灰色か黒か分かりにくい短髪を揺らした。
 彼は『ソル フォース』と呼ばれる騎士団の実力者な部類の男だ。リップルよりも少し年上。
 戦闘に対するスキルは光っていて、でも集団の統率に関してはポンコツと言わざるを得ない。
 二人とも科学を使ってるわけでもなく、わずかな魔力で飛び地上の民に比べても余裕で1日中飛べるだけのスペックがある。対比的にこちらは空の民と自他共に呼んでいて過酷な環境を生き抜く知恵を沢山持つ。
「ええ……あ! いた! あの飛行機とやら。地上軍の偵察かしら」
 地上で取れる燃料と魔力を混ぜて使って飛んでいる、空の民からしたら融通の効かないデカブツでわざわざ物に乗らないと飛べないのだろうかと度々疑問に考える。
 真面目に説明するならば呼吸の問題と、あまりにも極寒で暖を取る必要があるからだ。
「撃墜しますか」
「待って。ただ迷い込んだ一般人の可能性もあるのよ。まずはターゲットの情報を探って。攻撃してきたら容赦はしなくていい」
 ソルは目がいい。目がいい人は世の中に沢山いるが、この視界の悪さと長距離な事を加味しても明らかに小型の飛行機の銃口を確認出来るはずではないが、彼には見えた。
 相まって反射神経も高く即座に遠距離かつ到達の早い電撃系の魔法を使い大型の銃を使えない物にした。
 飛行機にも若干ダメージが入り煙が強風に流される。
「……反射的に撃ってしまったけど、乗ってるの小さい子だぞ! 急げ!」
 珍しく声を荒げるソルに驚いてリップルも目を一瞬見開き、すぐに飛行機の方へ向かう。