意外と食べ物に目がないこあは、道中まばらにある屋台を見てはチラチラ見ている様子だった。
 海岸沿いを歩いていた一行、特に雷太とこあは先ほど食べたにも関わらず美味しい食べ物の匂いに対して我慢しているようなそぶりを見せる。

「お兄さん〜食べましょうよ。ほらお腹鳴ってますよ」

 人差し指でお腹をツンツンして嫌がらせ。
 お返しに突き返してはまた頬をとんでもない馬力でつねられた。

「ってえ。お前が先にやってきたのに全く……そういえばこの辺明るくないか? 昼みたいだぜ」
「雷太様の日頃の行いが良いからですね!」
「違うだろそもそもよくねえよ」

 腕を上げて天高くの光源を見る。
うっすら何かが衝突しているような音が微かに聞こえ、光の中に『炎』も混ざっている。

「あれ風音さんの炎の魔法じゃねえか? 光の魔法は知らないが」
「あたし知ってますあの、忌まわしき光魔法」
「……そっか」

 軽く解説すると、こあが殺し屋だった頃の話で当然警察の機関はこあを追い回している立場にあった。
 だが化学だけでは解明されない現象が増えてきた時代に、警察内部に一人の魔女が入り、そこからわずか1年で捜査は劇的に変化した。
 こあと言うと「満身創痍」という師匠から受け継いだ、人の記憶を抹消する超能力を使い逃げ回る事に成功していたのだ。
 こあとドロシー フォードが出会ってから目が汚れてなかった時代のもっと幼い時代を思い出して、わざわざ記憶を消さなかった。

 忌まわしき光魔法と謳ったのは、捜査に革命を起こした張本人が光魔法を使い手の魔女だからである。
 こあは勿論あったが、風音は特に幾度も激しい衝突を繰り返しては大都市の区域を二つ丸ごと破壊し尽くす激闘もあった。

「二人が衝突を再びしている理由は分かりませんが、このままだと神秘の島も大都市も危ないです! お兄さんなんとかしないと!」
「無理だ。強すぎる」

 いきなり、ツカサが瞳をうるうるさせながら、半泣きで雷太に抱きつく。
 多少慣れてしまったのかいよいよ何も言わなくなった。

「あの辺は天界もある場所です。みんな、死んじゃうのかな……」

 雷太は歯を食いしばり拳を強く握る。