「……目の前にいるお方は下調べすら行われていないようですね。本来はご法度ですが、説明して差し上げましょう」

 用意されていた紙の資料を出し書かれている一瞬内容の確認。
 ドロシーはこれから待ち受けるのは苦難であるのは以前の経験から考えても察知していて、にじむ汗が机に落ちる。
 追放された天使は「ツカサ」女神の私物の「龍神の宝玉」を盗んだとされている。

「龍神の宝玉って?」
「ああ。緑色の宝石で出来てて、すごい魔力が込められている」

 コソコソ話しで知識を仕入れる。どうやら聞いたドロシーも心当たりがあるようで、すぐに理解をした。

「わたしから言ってやるがどうせ「女神の申し付け」なんだろ?」

 あまりにナゾ子が女神に対して当たりが強く静寂をルールとしている観衆も思わずざわめく。
 裁判長から鎮まるように命令され再びの静けさが来る。

「ところでそこの魔女……だと分かりにくいですね。お淑やかな方の緑の魔女はどうやら邪悪な魔力を感じるのですが、いかがでしょう」

 ドロシーに人差し指を差される。
 一見煽り行為にも見えたが取り乱す事もなく一瞬あざとく考え込んでは、持ってるペンの形をした大きな魔法杖を振り回して先の反対側を叩きつけ、乾いた音を響かせた。

「そりゃそうでしょ。私は魔王の娘ですもの」

 さっきよりも一層大きな騒ぎになった。もはや止めれる者などいない。
 あまりのも騒がしいので裁判にならず係員を通して女神のしもべとドロシー達にそれぞれ宮廷を伝えられる。
 しかし。

「ドロシー行くぞ!」
「え? どこに?」

 何かの企みを真っ先に察知して手首を全力で掴む。女神のしもべの背後、観衆から紛れて魔法弾が打ち込まれギリギリでドロシーの首筋を通り過ぎた。
 そのまま魔力で飛び上がり女神のイラストを突き破って法廷を後にした。
 女神のしもべはゆっくりと歩き扉を出て一息。

「自分の仕事はこれで終わりのようですね。あとは『ドロテア』さんに任せるとしましょう……」
 コツコツと靴の音と漏れた観衆の音が震えている。