ほどなくしてさくらが部室に戻ってきた。力強くドアを閉めるとパイプ椅子に大股開きでどかっと座った。
「なんなのよ、一体っ!」
かなり憤慨している。

「どうかしたの? 姉さん」
「どうもこうもないわよっ。さっきの警報器を鳴らしたのがあたしなんじゃないかって先生たちが揃いも揃って決めつけてきたのよっ!」
「え~、それはさくらちゃん可哀想やな~」
「でしょ。感じ悪いったらないわっ」
お前の普段の行動が招いた結果だろ。
全校集会で校長先生のマイクを奪い取った時点でお前はブラックリストに入っているはずだからな。

「それで姉さんはどうしたの?」
流星はさくらをなだめるように優しく訊く。

「むかついたから真犯人はあたしがみつけてやるって言って職員室を飛び出てきてやったわよっ」
「そないなこと言うたんやね~。それでどないしてみつけるん?」
「決まってるでしょ、超能力よっ」
さくらは土屋さんの方に顔をきっと向けた。

「あたしに罪をかぶせた犯人をみつけて先生たちの前に突き出してやるんだからっ」
「……超能力はあまり使うべきではない。世界に――」
「ひずみとかはどうでもいいのよ、美帆。今はあたしのプライドの問題なのっ」
今度は高橋にかっと顔を向ける。

「お前、さっき超能力は必要としている人のために使うとか偉そうなこと言ってなかったか?」
「だからあたしがあたしの力を必要としているんじゃないっ。そんなこともわからないからバカなのよっ!」
目力鋭く俺を睨む。
ひどい言われようだ。俺一応先輩なんだけどな。

「早速現場に行くわよっ」
「現場って……ボタンを押された警報器がある場所のこと言っているの? 姉さん」
「そうよ。直接ボタンに触ってサイコメトリーするのよ」
サイコメトリーってなんだ?

口に出そうと思ったら、
「さいこめとりい……ってなんなん?」
土屋さんが可愛く首をかしげていた。

「そこの本に書いてあるからあとで読みなさい、みどり」
「……サイコメトリーは物体に触れることでそのものの記憶を読み取る能力のこと」
「ほぇ~、そうなんや。さくらちゃんてそんなことも出来るんや~」
出来ませんよ土屋さん。
こいつはサイコメトリーはおろかスプーン曲げだって出来ないだろう。

「俺たちも行くのか?」
「当たり前でしょ。文芸部の仲間が犯人扱いされたのよ、黙って見てる気っ?」
「真柴先輩、行きましょう。ね?」
流星がすがるような目で見てくる。

……やれやれ。もう少しで英語の宿題が終わりそうだったのに。