「あらぁこんなにお綺麗になって。きっと宵様もそうおっしゃいますよ」

花嫁衣裳を纏った小春は鏡の中で満面の笑みだった。
鏡越しに葉瑠は嬉しそうだ。
今日正式に結婚をするのだ。胸をときめかせ、その時を待つ。襖の奥から宵の声がした。

「ほらほら、来ましたよ」

葉瑠の言葉を合図に襖が開かれる。そこに立っている宵は小春を一目見ると驚いたように固まった。

「宵様。どうでしょうか…似合っておりませんか」
「いや、逆だ。あまりに綺麗だったから言葉が出てこなかった」
「……」

宵についていくつか分かったことがある。それは彼はこういった愛の言葉を恥ずかしげもなくストレートにぶつけてくる。こっちは顔が真っ赤になるほど平常心ではいられないっていうのに、だ。
「それより何故お前が先に小春の衣装姿を見ているんだ」
「ええ~だって僕たち一番仲よしですもん、ね?」
「うふふ、そうですね」
それを聞くと宵はあからさまにむっとした表情になる。
あまりに分かりやすいのだ。側近たちは随分と小春にべた惚れしている当主に呆れることも増えた。しかし同時に以前とは変わって喜怒哀楽があってよいと思っている。

「結婚式を終えたらいよいよ子供をつくりましょう」
「っ……」

葉瑠のそれにぼんっと顔を更に赤くする小春はりんごのようだった。

そんな小春を見て宵は愛おしそうに笑った。



END