「到着! さぁ登るか!」
 自転車を置いて山根を先頭に歩き始める。前来た時とは違い、荷物がほとんどないので女の子達もさほど苦しそうではなかった。
「はい、そこ滑るよー気をつけてー。はいそこ段差ー、気をつけてねー」
 山根はしっかりテーマに沿って頼りになる所を見せている。俺も触発されて行動に出た。
「あ、杉川さんそこ滑るから気をつけてね」
 物凄く自然に手を差し伸べて片手で杉川さんを引き寄せる。
「ありがとう!」
 杉川さんはいつもの天使スマイルを取り戻していた。これはいける! と思い山根に視線を移すと軽々と森さんの手を引いて進んでいた。
 あいつに対抗しようとした自分の愚かさに気づく。全くもって敵わない。