心を無にして教室へと向かう。何も怖くない、大丈、 そう言い聞かせるように拳を握る。ペタペタとスリッパで歩く自分の足が見える。教室に着くと、みんなが笑って私を見てくれる。ほら、大丈夫。大丈夫。余計なことは考えるな。

「ただいま。」
と私は玄関で靴を脱ぐ。
「おかえり。って、ちょっと何であんたずぶ濡れなのよ?」
という全身びしょびしょの私を見たお母さんの驚いた声に、
「ちょっと傘壊れちゃって。」
と軽く受け流す。そう、傘が壊れただけ。だから、
「心配しないで。」
お母さんに向かって軽く笑い、2階へ上がる。自分の部屋に着き扉を閉める。ちゃんと暖かくしなさいよーと言うお母さんの声が微かに聞こえる。背が扉にあたり、そのままズルズルと床に座り込む。涙が無償に出てきた。
大丈夫、大丈夫、
まだ大丈夫、、、