「……もう、夏も終わっちゃうね」


「あ?あぁ……確かにそうだな」



二人で見上げる夜空には、いくつもの星が綺麗に輝いていた。



「でも、良かったの?外出て」


「んー、良くはない。バレたら確実に説教二時間コース。だから終わったら速攻で戻る」


「ふふっ、了解」



彼女がこぼす微笑みに、彼もまた、口元に頬杖をついた向こうでその口角を隠すようにしながら薄く微笑む。


この日のために部屋を抜け出して屋上にやってきた二人は、夜空を見上げながら今か今かとその時を待つ。



「部屋からも見えるけど、ここが一番綺麗に見えるもんね」


「あぁ、周りに高い建物無いからな」


「うん。見やすい」


「……お、もう二十時になるぞ」


「うん。もうすぐ始まるねっ」



にっこりと微笑む彼女に、彼は呆れたような視線を投げかけるものの、その心の内は少しだけ緊張しているようだ。