3歳の時、僕は、転園した。
春に、ハルのいる、幼稚園に。
ハルは、明るくて、元気で、誰とでも仲良くなれるとってもいい子だった。でも、ハルが桜を見るときはとっても切なくて、儚い顔をする。どこかに消えてしまいそうな感じで。
ハルが僕に話しかけてくれて。握手をしようって言ってくれた。
少しずつハルと話せるようになってきて、一緒に遊んだりもするようになってきた。
僕は、暗くて、周りも一緒に巻き込んでしまいそうなほど。でも、それ以上にハルちゃんは明るくて、僕の明るさを消してしまいそうになるくらい。
次第に、家族ぐるみで遊ぶくらい仲良くなって、ハルちゃんと、どこか遠くで遊びに行くことも多くなった。ハルちゃんと遊んだり話したりするのはとっても楽しくて、ずっと一緒にいても飽きなかった。僕のこの感情が恋だと分かったのは、もっともっと後の話だけど。きっとこの時にはもう、彼女に恋焦がれていたんだと思う。だって彼女と撮ったいくつもの写真は全部僕は、ニコニコに楽しそうで嬉しそうな笑顔がしていた。
ある時彼女が、僕に少し変なことを言った。

「㮈都くんはさ、なんかねナツの匂いがする。」

って、だから

「どんな匂いなの?」

って聞いたら。

「匂いっていうか、気配っていうか、色っていうかね。」

「よくわかんないんけどね、そんな感じがするんだ。」

そんなことを言ったあなたは、弾けるようなキラキラした笑顔で。僕も釣られて笑顔になっちゃうくらい。

「㮈都くんはね、暖かい匂いがしてね、夏の気配がしてね、水色や緑みたいな感じなんだ。」

なんだか、嬉しかった。彼女が僕はこんな感じって言ってくれたのが、だから僕も真似して言った。

「ハルちゃんはね、ハルの匂いがするよ。」

「えー?」

楽しそうに聞いてくれるから、嬉しくて。

「涼しい匂いがして、春の気配がして、ピンクや黄色の感じ!」

「嬉しい。わたし春大好きだよ。」

嬉しいって言ってくれたのがとても嬉しかった。

「ハルちゃんは、桜みたいな感じだよね。」

「㮈都くんはね、向日葵みたいだよ。」

またまた、嬉しかった。ハルちゃんが僕を褒めてくれるたびにすごく嬉しかった。少し大人びているように見える彼女が目をキラキラにして聞いてくれて、嬉しそうに言ってくれるのがもう嬉しくて、ハルちゃんの優しさに包まれてる感じだった。暖かくて、でも少し涼しくてほんとに春の陽気のようだった。ハルちゃんは、春を象徴するような子だった。春と言ったらって言われたら真っ先に彼女の名前が出るくらいに。