「同性愛者の人って居るじゃん?あれ意味わかんないんだけどー」
きっと教室からだろう。知らない子の話し声が聞こえる。
放課後、忘れ物を取りに戻った私は道中の教室から聞こえた単語に思わず体が止まった。
「だよね‪wまじ理解できない‪わ」
「てか好かれた方も可哀想だよね」
「いや同性に好かれる奴もやばい奴でしょ」
「それもそっかー‪‪w」
「同性愛者名乗ってる人も無理だけど同性に好かれてる奴とかも私無理だわ」
「それなー」
あぁ、聞かなければ良かった。
その会話は私がずっと悩んでいたことだった。ネットならまだ気にしないでいられた。でも、同い年の同じ地域に住んでいる人でもそうゆう考えを持つ人がいたという事実はずっと重かった。
やっぱり同性愛は気持ち悪いのだろうか。間違ったものなのだろうか。
優羽を思う気持ちは間違っているのだろうか。
優羽のことも傷つけてしまうのだろうか。
それは嫌だ。でも、分からない。
間違いかもしれないものを、誰かに批判されるかもしれないものを貫き通せるほど私は強くない。だけど優羽のことを好きだという感情を消すこともきっと無理だ。
どうすれば、どうすれば上手くいく?どうすれば私は、優羽は嫌われない?傷つかない?
やっぱり諦めるしかないのだろうか。
きっと優羽と繋がったままでは諦めるなんて無理だ。大丈夫、幸い連絡はほとんど私からだから。私が意図的に避ければどうにかなる。諦めよう。優羽の為にも、私の為にも。誰も傷つけないために、傷つかないために。