私と日野陸斗は果たして本当に「両思い」なのだろうか。
 それとも、魚住家の言い伝えが間違っているのだろうか。

――答え合わせがしたい。

 そんな思いで、わざと日野陸斗が郵便局にバイトに来る時間を狙って、家を出た。真向かいだから、いつだって会えるんだ。

 チリンチリン、と安っぽい自転車のベルを鳴らしながら、日野陸斗は颯爽とやってきた。朝から暑い。すでに汗ばんだTシャツの真ん中には海外のバンドの名前が大きくプリントされている。
 そして、私に気がつくとニカッと白い歯を見せて笑う。

――清涼飲料水のCMに出てきそう。

 彼の姿を見ているとふとそう思い、くすっと一人笑う。

 太い首筋も、隆々とした腕も、汗でてらてら光っている。
 郵便局の脇に自転車を停める彼を、私はまじまじと見つめてしまう。

「魚住さん、今からどこかへ行くの?」
「いえ、そういうわけじゃないんです」

 挨拶もそこそこに、私は前のめりにこう言った。

「今日、バイト終わってから時間ありますか?」
「うん。今日は午前中だけバイトして、そこからはフリーだよ」
「じゃあ、ちょっと付き合ってください」

 今日だけじゃない。
 明日もあさっても、その先も。

 毎日確かめていいですか?

 私が幸せになれるのか、どうか。