「ん? お母さんだ」
ブーッ、ブーッと、机上に置いていた椎花のスマホが振動した。母親から電話が来たらしい。椎花はよく下校がてらお使いを頼まれているから、今日も多分それなのだと思う。「ちょっと出てくる」とだけ言って椎花が席を外した。
時はめぐり、11月中旬。
わが校は11月の後半に文化祭が控えている。つい先週中間試験が終わり、校内は途端にイベントモードへと切り替わった。文化部はもちろんのこと、運動部までもが後夜祭で部活動ごとに披露するダンスの練習をしていたりする。文化祭当日まで朝、昼、放課後とどの時間帯もにぎやかになるところまでがセットである。
そんな中、各クラスで出す模擬店の準備の他、ダンスを披露することもなければ楽器を弾くこともない青春やる気なし部──改めおたすけ部はというと。
「おたすけ部さん、まだ今年はどの部活からも助っ人要請きてないよね!?今年はうちで手伝いよろしく!」
写真部の仮部員として活動している最中であった。