「いじめを止めたいんです」


時は現在へと戻り、10月も終わりに差し掛かったころのこと。1年C組の真柴(ましば) みのりと名乗る女子生徒が、深刻そうな面持ちで青春活動応援部の部室にやって来た。



「……ちょおまてちょおまて、なんか近年稀にみる いや稀とかじゃねえな創設以来出会ったこともない重めの依頼来たどうする」
「どうするもなにも…」
「そもそもこの学校俺めちゃくちゃ平和かと思って生きてたよ会長がピュアってくらいで」
「……一理ある」
「いじめって、いやまじか?そんでそれを俺らに依頼…まじか?」
「よし、解決しようがんばるぞ、おー」
「おうごめん一旦壱弥は黙ってくれ?」



いじめとは、人権侵害の一種である。精神的・心理的な暴力を受け、当該生徒がそのことにより苦痛を感じていること。いじめに当たるかどうかは当該生徒の判断による。よく聞く、「いじめは本人がいじめだと思ったらいじめ」というものである。


混乱する私と茅人、そして相も変わらずマイペースを貫く壱弥。おたすけ部たるものは、一応この3人の部員から成り立っている。

創設から1年半の我が部は、依頼をこなす回数よりも生徒会からお叱りを受ける回数のほうが多いおサボリゆるゆる部であるが、依頼が来た時は基本NGなしで全力で援助するようにしている。


しかしながら、今回はどうするべきか。

平和極まりないと勝手に思い込んでいた節もあり、いじめに関する依頼を受けたのは当然はじめてであり、そしてとても驚いていた。