そう言って、加藤は僕の背中を優しくさすってくれた。息子は僕の首に両腕を回す。僕は無防備に希を受け入れる。この子になら何をされてもかまわない。そう思える自分が嬉しかった。加藤は、小さな、とても小さな声で、そっと、僕の耳にささやくようにして、

「――緒方、私も、」

 あ けっぴろげの彼女の心を、僕は強く強く抱きしめた。

 な みだが止めどなく頬を流れ続ける。

 た った一言の真実が、僕を、僕達を壊して、救った。

 が らくたのような僕達の中にこんな希望が埋まっていたなんて。

 す っかり忘れていた欲望が、封じ込めていた感情が、津波のように押し寄せる。

 き っと、殻を失った今の僕は、とても弱いのだろう。

 だ けど、これでいいよね? 加藤、希。

 よ わくても、傷ついても、僕は――父さんは、君達と生きていく。