ビールと焼き鳥缶を買って、元気がなく重かった足取りが軽くなったような気がする。現金な奴だな私はと足元を見て苦笑いを浮かべた。

軽い足取りで一人暮らしをするマンションに到着。玄関にパンプスを脱ぎ捨てて、リビングのソファーへと雪崩れ込むように倒れた。

あぁー、帰ってこれた我が家ぁあ。

愛してる~~!!と愛の言葉を叫び、ソファーに顔を鎮める。何してるんだろう。自分にツッコミを入れつつ重たい体を起こした。

さすがにしわになっては困るので、ハンガーにスーツをひっかけて部屋着に着替える。

肌触りが良く一目ぼれして買った薄ピンク色の部屋着。

ちょっといいものをと軽い気持ちで買ってみただけだったのだが、その着やすさから今では一番着る頻度が多くなった優秀な部屋着だ。

次の給料日には、洗い替えも買おう。

「さて、お待ちかねのビールと焼き鳥缶!!」

テレビの電源をONにして、買ってきたビールと焼き鳥缶をテーブルに広げる。さぁさぁさぁ!!テンション上がってきましたよ!!とビールを手に取る。
少し温くなってるが、まぁしかたない。

「一日お疲れさまでした私!!」

かんぱーいとビールのプルタブに指をかけた、その瞬間だった。突如、床が光り始めたのだ。

幻覚!?!?ストレスによる幻覚なの!?!?とパニックになりながら、ビールと焼き鳥缶はちゃっかり手に持つ。

光は徐々に強さを増していく、範囲も広がっていき、ついには部屋中が光り始めた。

光の強さもついに目を開けていられないほどになり、固く目を閉じた。



□■□■



どれほどの間目を閉じていただろう。光は徐々に落ち着きはじめ、私はゆっくりと目を開けた。

まだ強い光の所為か、視界がぼやける。部屋の電気が消えてしまったのか薄暗い。

一体何が起こった??照明の故障??いや、それにしてはおかしな部分が多い。

まだ違和感があるなと瞬きを繰り返す。
パチパチと何度も瞬きをしている間に、目が慣れてきたのか視界がはっきりとしてきた。

やっと見えると向いた視線の先には、石の壁。

ファンタジー小説に出てくる牢獄とはこんな場所だろうかと思うような壁。あれ??私の部屋いつの間に模様替えしただろうか。

「や、やったぞ!!ついに女神さまを降臨させた!!!!」

壁へと手を伸ばした時、どっとあたりが騒がしくなる。
そこでやっとここにいるのは自分だけではないと気が付いた。

薄暗かった部屋の四隅に置かれたランプにオレンジ色の明かりがともる。より鮮明に辺りが見えるようになって、私は絶句した。

「何ここ、誰??どこ??」

複数のローブを目深にかぶった、声からして男たちは、困惑する私をそっちのけで喜び肩を抱き合っている。

不安、困惑、恐怖がグルグルと体を駆け巡って、なんだか吐きそうな気分だ。

いったい何がどうなっているんだ。誰か説明してほしい。