一室に通されてから、三日が経過した。残念ながらその間に会ったのはアシュリーさんだけで、夢野さんにすら会っていない。
日がな一日をあてがわれた一室で過ごし、窓の外を眺める日々を送っていた。

ベッドの寝心地は良いし、食事もおいしい、ただ暇ではある。

いや、それだけならまだいい。

私は早く帰らないといけないのだ。こんな場所でぐーたら過ごしている間に、どれだけ仕事が終わるだろうか。

今度大きな仕事がある!!そう上司が言っていたのを思い出す。きっと今頃社内は阿鼻叫喚だろう。早く帰らないと後が怖い。

私は帰った後の事を考え重いため息をついた。のが、ついさっきだ。

「シノ様。陛下がお呼びです」

何の前触れもなく、アシュリーさんが迎えに来た。どうやらやっと帰れるらしい。
嬉しいような、少しがっかりのような、いや嬉しいと思うべきだろう。

ファンタジーは好きだが、読んだり見たりする方が良い。体験はできればしたくない。
ここまでの体験で、お腹いっぱいだ。

アシュリーさんに連れられ、右を見ても左を見ても豪華絢爛な王宮内を歩く。そして一際大きく豪華な装飾をされた扉の前へと到着した。

扉の両端に立っているのは、鎧に身を包んだ大柄な男性。

鎧を着ていてもわかるほど筋肉はムキムキで、身長も二mほどありそうな体格のいい二人が扉を開ける。

そこから、真っ赤な絨毯が一本道の様に伸びていた。ずっと伸びた先には豪華な椅子に座る王様、そしてその脇に一人、そしてその近くに夢野さんの姿もあった。

謁見の間と言われる場所だろうか。

「ふんっ、来たか」

王様なのだから偉そうなのは良いが、結構な挨拶だ。

アシュリーさんに連れられ、王様の近くまで歩くと彼は何故か私の姿を見て鼻で笑った。
どこに笑う要素があったのか、是非とも語り合いたい。

「お前は魔法すらも使えぬのだな、魔力を一切感じぬ。アイミはこの数日で魔法を使えるようになったのだぞ」

「……はぁ、そうですか」

きっと私の今の顔は、相当おかしなことになっているだろう。まず何の話をしているのかがさっぱりである。

傍で控えている夢野さんも、クスクスと馬鹿にしたように笑っており正直いい気分ではない。

なんだこれは一体。馬鹿にされてきたわけじゃないんだが。

「あの、申し上げてもよろしいでしょうか」

「……うむ、発言を許可しよう」

「私は巻き込まれただけの一般人です。即刻元居た世界に帰りたいのですが。何を退治するやら知ったこっちゃありませんが、私無関係ですよね??」

大人げないかもしれないが、人の事を馬鹿にしたように笑う彼女の身を案じるほど私は優しくはない。

この世界で何でも退治すればいい、私は元居た場所に帰って上司を退治する。というのは冗談だが、こんな世界放っておいて速やかに帰りたい。