「外人。お前、母さんに捨てられたんだって?」

 小学生の男の子が、私を教室の壁際に追い詰め、あははと笑った。

「お前のかあちゃん、男を追いかけて、外国に行ったんだろ」

 また別の男の子が、先程の男の子と同じように唇の端を上げた。
 二人の男の子に挟まれて、私は耳を押さえてしゃがみ込んだ。
 教室の中では、女の子のグループが集まって、ひそひそと何か話している。彼女たちのことも嫌い。だって、靴を隠したり、ノートを破いたりするから。
 クラスの他の男の子たちは、気の毒そうな顔や、何か言いたそうな顔をしている子もいたが、誰も助けようとはしてくれない。
 それもそのはず。私をいじめている男の子たちは、クラスの中では目立つ子で、反対意見や口出しをすると、今度は自分たちがいじめられると分かっているから。

(違うの。お母さんは、お父さんを探しに行っただけ。お父さんが見つかったら、きっと帰って来てくれる)

 私を、お母さんを、馬鹿にする声を、これ以上聞いていたくない。


「やめて!」