目覚まし時計のけたたましい音に叩き起された。
時計に目をやると、短針が七を指していた。長針は十。
_七時五十分_
私は飛び起きた。
「やばい」
今日は確か成績に関わるテストがあった。
そのため、早めに登校しなければならなかった。
バタバタと鞄に荷物をつめ、適当に冷蔵庫にあったものをお弁当に詰め込んだ。
制服に着替えてみたが、前髪が真っ二つに分かれてあられもない姿をしていた。
数分戦ってみたが、勝てなかった。
諦めてピンで無理やり端に寄せて固定して家を飛び出した。
施錠はきちんとして。
最終的に、学校から電車で30分のところにあるアパートに決まった。
家賃は少し高いけど、何とか生活できそうだ。

「優ちゃん。おはよう」

お隣のおじいちゃんに話しかけられた。
「おはようございます」と返すが、足は止めなかった。太陽が私を照らし、寝ぼけていた頭が徐々に覚醒する。
腕時計を確認すると八時十五分。
どう足掻いても、もう無理だ。
諦めがついてからは、走ることを止めゆっくりと歩み始めた。
どうせ怒られるなら、時間をかけて楽をしてもいいだろう。
隣をスーツの大人たちが走り抜けていく。
皆、汗を垂らし時計を何度も確認している。
この人たちももしかすると遅刻寸前なのかもしれない。

駅に着くと、既に三十分をすぎてしまっていた。
中学時代の私なら青ざめていただろうが、ここでの私は違う。
成績はギリギリ上位で、礼儀正しいただの生徒。
生徒会に立候補しようか悩んだが、自由時間を取られたくない。
そもそも、纏めあげること自体あまり好きじゃない。
ストレスが溜まるだけだと思う。

「優、お前も遅刻か。珍しいな」

電車に揺られながら窓の外を見ていると、上から声をかけられた。声だけで誰かわかった。

蒼窓(そう)こそ珍しいじゃん。部活はどうしたの?まさか退部したとか」

「そんな訳ねえじゃん。今日は休みなんだよ。だから、ゆっくりしてた。」

準備に手間取ってたら遅刻したと続けてヘラヘラと笑う此奴は、恐らくテストのことなんて忘れているのだろう。

「今日はテストだよ。成績に関わるやつ。」

蒼窓は、しばらく固まっていた。
そして、ポケットから月間の予定表を取り出してじっと今日の日付を見つめた。
横から覗き見ると、今日の日付_七月七日_の欄にテストと書いてあった。

「やべえじゃん。俺何も勉強してない!お前もやばいんじゃねえの?」

事の重大さに気づいた蒼窓は、突然早口で話し始めた。あまりの慌てように腹を抱えて笑ってしまった。
一頻り笑ったところで、周りの視線に気づいて二人で謝った。